ガード
『え、いや、ちょっと待って。そんな高いお金ないんだってば。』

『出世払いでいい。』

そっけなく返してきた翔だが、これは一大事だ。

『私、いつものスーツにコサージュ買ってつけていくから。大丈夫だよ。』

『いいって。そんなんじゃ浮くぞ。』

そんな押し問答を繰り返しているとあずさまで便乗してきた。

『俺も行くわ。2人じゃ心配だし、ちょうどフォーマルスーツ一着欲しかったんだよな。』

ボディーガードがなぜフォーマルな服を欲しがるのかが謎ではあるが、いまはそれどころじゃない。

***

押しに押されつ、やっと私はしぶしぶ翔たちと買い物に行くことを承諾した。

『いつか絶対返すから。』

『『はいはい。』』

実に軽く受け流す男性陣だ。

ごたごたしながらも結局は丸く収まり、買い物はこの週末に決まった。

あれだけ渋りながらもベッドにつきながら私は、嬉しさなるものがこみ上げずにはいられなかったのである。
< 47 / 77 >

この作品をシェア

pagetop