不釣合い。

新たな一歩

いざ会社を出ようとした時。

『お疲れ様でーす』

後ろから、男性が挨拶してきた。

あっ。営業課の長谷川さんだ。

この会社で長谷川さんを知らない人はいないと言われている有名人。

業績No.1.容姿端麗

ヘッドハンティングも多く、なんでこんな会社にいるんだろうっていうスーパースターだ。


長谷川さんに声かけて貰えた。

私はキュンとなった。

『お、お疲れ様です』

私が緊張して挨拶を返すと

『なんだ、タカじゃん!お疲れ様』

木村さんが挨拶を返す。

『うわっ明美さん!お疲れ様です』

長谷川さんは驚いていた。

『何?私見てびっくりする事ないじゃない!』

『すみません。後ろ姿が若い子2人だったんで』

長谷川さんが頭をかきながら言った。

『何!?振り返ったら私が若くないって!?』

『冗談ですよ。明美さんは今日もお美しい』

『よろしい。タカ今終わり?珍しいね』

『今日夕方取引先で話込んじゃってそっから書類の整理とかしてたら遅くなっちゃいました。まぁ来月でかい契約あがるからいいんですけど』

満面の笑みでVサインをする長谷川さん。

『タカが月末仕事するなんて珍しい〜。てか、早く彼女のところへ行かなきゃね。看護師の彼女だっけ?』

『明美さん、その情報古いですよ。とっくに別れましたよ。今は彼女募集中です』

『そうなんだ〜じゃあ暇でしょ?今からこの子とご飯行くけど来る?』

『わーい行きたいけど、俺行っても大丈夫?』

長谷川さんに目を見つめられながら問いかけられた。

またキュンとした。

『も、も、もちろんです』

私は1人でテンパっていた。

『こら私の可愛い後輩にちょっかいかけない!』

木村さんが間に割り込む。

『俺、長谷川隆志。よろしくね。タカって呼んで』

『わ、私は山口桜です。よろしくお願いします』

『明美さんいつもの場所でしょ?せっかくならテツさん呼びましょうか?』

『ダメ。部外者は禁止』

そう言うと明美さんは足早に出口へと向かった。

『き、木村さーん。待ってくださーい』

私と長谷川さんは後を追った。

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