あまりさんののっぴきならない事情
 



 大崎は近くにあるのに、まだ行ったことのなかった素敵なレストランに連れていってくれた。

 テラス席に座ると、緑も多く、既につけられているテーブルの上のランプが夕暮れの光のなかで揺らめいて綺麗だ。

「なんだ。
 海里と食べるのなら、食べられないわね。

 此処のクリーム系のパスタ、ほんとに美味しいのよ」
と大崎はメニューを見ながら言う。

 確かに。
 すごくいい匂いが店中に漂っている。

「また来てみます」
と店内を見回しながら微笑んで言うと、大崎は、

「そうね。
 海里と来てやって」
と言う。

 あまりは、ケーキにごってりフルーツが盛りあわせてあるデザートを頼んで、
「あんた、それ、ご飯食べるのと変わらないんじゃない?」
と大崎に笑われた。

 しばらく大崎の店の話や、海里の会社の話などをしていた。

 こうしてゆっくり話してみると、この人話しやすいな、とあまりは思う。

 海里さんのご親戚だからだろうか。

 でも、血は繋がってないんだよね? とその綺麗な横顔を眺めていると、大崎が笑い出した。
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