あまりさんののっぴきならない事情
 服部半蔵は海里の手にある、今、自分を撲殺しようとしたワインを見、
「とりあえず、今日は失礼しますよ。
 お邪魔してしまったようなので」
と言ってきた。

「帰れ。
 二度と来るなよ。

 来たら、お前が彼女連れ込んだとき、邪魔してやるぞ」
とよくわからない脅しをかけている。

「はは。
 今日は、僕は仮眠取ったら、またすぐ出ますから、ごゆっくり」
と言って服部は部屋に入っていった。

「刑事さんだったんですね」

 そういえば、カフェで見ましたね、と閉まった扉を見ながら、あまりが呟くと、

「……刑事か。
 七つ道具とか持ってそうだな、盗聴器とか」

 盗聴されるなよ、と言ってくるので、
「いや、刑事さんですよね?」
と確認するように言ってみた。

 あと、七つ道具を持ってるのは、探偵さんでは? と思っていると、

「なんでもいい。
 さあ、早く入れ」

 時間をロスしてしまった、と仕事のようなことを言いながら、さっき、服部にしていたように、ワインの瓶で背中を突いてくる。
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