あまりさんののっぴきならない事情
 海里はあまりを膝に抱き上げ、言ってくる。

「一生お前を愛するよ。

 ……ずっと側に居る」

 後ろから抱き締めてくる海里に、さっきは抱き締めてくれないとぐずっていたくせに動揺し、

「そっ、そんなに今の文章長くなかったですよねっ?」
と言うと、

「最後のはおまけだ」
と耳許で言ってくる。

「楽しみだな、社員旅行。
 行こうな、あの宿」
と海里は言う。

 そうなのだ。

 送別会と兼ねて、あまりも行かせてもらうことになった秘書室の旅行は、あのとき行った宿になったのだ。

 素敵な宿だと秋月たちも浮かれている。

「そうだ、あのとき言ったろ」
と後ろから海里が言ってくる。

「お前に幸せなど訪れないよう願ってる」

 振り向くと、海里は、もう一度、そのセリフを繰り返しながら、探るように指先をからめ、キスしてきた。

「お前に幸せなど訪れないよう祈ってる。
 俺なしでは――」
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