午前0時、魔法が解けるまで。






「……こいつが増田を好きってだったって砂川から聞いてから、オレは何も言わなかったけど増田ってやつすげえ遊び人って有名だぞ。知らなかったのかよ?」



遠くなっていく意識の端で由美子と逢坂くんの声がぼんやりと聞こえてくる。



「……うちら、あんまりそういう噂聞かないからさ」


「一年の時も先輩孕ませて退学まで追い込んでるぞ、あのクズ」



そんなことする人だなんて信じたくない。


否定の言葉を発しようとして、声が出なかった。自分の意思で指先一つも動かせなくなったのを確認して、私は諦めて意識を手放した。






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