そのキスで、忘れさせて








深夜のファミレスで……

あたしは、向かいの席に座る二人を見た。

二人は気まずそうにあたしを見るものの、肩を寄せ合って寄り添っている。

あたしは邪魔者だ。

そんな空気をひしひしと感じた。

それでも何とか正気を保ち、彼に言う。




「なんで……」




あたしの声は醜く震えていた。

負け犬の遠吠え、その文字がぴったりなほど。




「あたし……本気だったのに」




< 3 / 384 >

この作品をシェア

pagetop