そのキスで、忘れさせて





「遥希がいないなら、俺がここにいても仕方ねぇ」




藤井さんは立ち上がり、あたしを見た。

遥希みたいな優しげな顔だった。

その瞳は、あたしを心配してくれているようにも見える。

かける言葉を見つけているのか。





「あの……」




気まずくなって言葉を発した時……




「俺に出来る限りのことはするから」




藤井さんは静かに言った。

そんな藤井さんに聞いていた。




「どうして……

どうして、そんなに遥希を助けてくれるんですか?」



< 355 / 384 >

この作品をシェア

pagetop