肉食御曹司に迫られて
目の前には、月の明かりに照らされ、
紫にも見える髪の毛と、真っ黒な瞳が覗き込んでいた。

「・・・っ?!!!!」
奈々は声にならない声を出し、後ろに慌てて手をつき、顔を逸らした.・・・。

そうすると、その瞳の主は
「ごめん、ごめん!呼んだんだけど、気づいてもらえなくて!驚かした?」
とほほ笑んだ。
「脅かすつもりはなかったんだけど…。」
と続けた彼は、おもむろに何かを奈々に手渡す。

ひやっとした感覚に、慌てて手元を見ると、透明のプラスチックカップだった。

きょとんと、視線を上に向けると、
「車で来たのに、ビール頼んで焦ってたんじゃないの?駐車場に車停めるの見えてたんだ。よかったら、どうぞ。ノンアルコール。」

(-あっ、さっき目のあった人だ!)
奈々は、少し恥ずかしくなり下を向いた。
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