肉食御曹司に迫られて
東京にいるときのあたしは、小さいころからのあたしだ。
厳しい母親に育てられ、言われるがままピアノに没頭した。
才能も、自由もない生活に耐えきれなくなり、18歳の時、大学進学と同時に留学を辞め、日本の普通の大学に入学した。
それと同時に実家とは連絡をとっていない。

いい子でいなければいけない。感情を出してはいけない。
そんな性格がいつの間にか身についてしまった。

辛うじて、学費だけは父が出してくれたが、生活費が必要で、ピアノの演奏のアルバイトを掛け持ちしていた。

反抗して、窮屈で、義務的なレッスンから解き放たれたら、初めてピアノを弾くことが好きだったことを思い出した。
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