記憶のないお姫様


「だって、皆のことを忘れちゃうから。そんなのやだもん・・・!」


「俺だって嫌だ・・・。」


光が歩いてくる。



「忘れられるのは嫌だけど、鈴が死ぬのは、いなくなるのは・・・もっと嫌だっ。」


「こ、う・・・。」


何だろう。この気持ち。


「俺も。鈴が死ぬのは嫌。」


蒼も、皆も言ってくれる。


「鈴、わかるでしょ?皆にこんなにも愛されてるんだよ?戻ってきて?」


春・・・。


「見失わないで。自分がここにいることを。」


心が暖かくなる言葉をかけてくれる春。


「・・・っ!ふぅうっ!みんなっ・・・!」


皆の元に駆け出す。



だけど、・・・



びゅうっ!!!



強い風が吹く。


「あっ・・・!」


体が傾く。


「鈴っ!!危ないっ!」


ぎゅっと目をつむる。



「鈴!着地して!」

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