ドメスティック・ラブ

「それ新婚家庭じゃないし、ただの同居じゃないの。シェアハウスじゃないんだからさあ……」

 さとみんがフォークを持った手を宙に浮かせたまま呆れた顔をしている。
 確かに今の私達は新婚というよりルームシェアっぽい。学生時代の合宿での雰囲気と何ら変わらない。

「喧嘩してるとかでもないんだよね?」

「そんなのしてないよ、夫婦円満。そもそもまっちゃんて多少の事じゃ本気で私に怒ったりしないでしょ。これまでだってざかざか迷惑かけてるけど一度も喧嘩なんてした事ないよ」

「確かに」

 迷惑かけてるって所、否定してはくれないのね。

「まっちゃん、昔酔っ払ったしまっちに公園の噴水に引きずり込まれて携帯ダメにした時でさえ怒らなかったもんね……」

 あったなあ、そんな事。
 もちろん我に返った後に平身低頭で謝った。私がお酒で犯した失態の最たるものがその時かもしれない。ただあの時深酒はするもんじゃないと反省したのに、その後も何度も酔い潰れてまっちゃんに色々助けてもらっていたりはする。それでも笑いながらネタにされる事はあっても、文句を言われた事はない。
 そう、とにかくまっちゃんは心が広い。器が大きい。優しい。だけど。

「まさか新婚早々レスとはねー。まっちゃんて一歳差以上に精神的に老けてるとは思ってたけど、マジで枯れてるとは思わなかったわ」

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