ドメスティック・ラブ

「おめでとう!うわあうわあおめでとう、ダブルでおめでとう!!良かったねええええ」

 ああもういくらでも惚気けちゃってくれていいよ。
 友人の幸せな報告は嬉しいものだし、さとみんがずっと悩んでいたのを知っているだけに喜びもひとしおだ。一気にテンションが上がってこっちまで顔がニヤけてしまう。望まれての結婚なら手放しで喜べるし。

『ありがとう、しま。本当に……ありがとう。直接会って話したかったんだけど、とりあえず決まった事だし早くしまには言わなきゃと思って。ごめん電話で』

「いいのいいの、早く教えてくれて嬉しいよー、次会う時にはめちゃくちゃ祝っちゃうから!」

 うわあ、これは熱が下がったらまっちゃんにも教えてあげなくちゃ。皆に連絡したら、立て続けに結婚なんてお前ら仲良すぎとか言われるかもしれない。
 さとみんの花嫁姿、綺麗だろうなあ。私達の時みたいに急じゃないなら結婚式前に一度皆で集まってお祝いして、余興とか受付とかやれる事があったら何でもやっちゃう。いや、さとみんの為なら他の誰より張り切るよ、私は!

『それで、ね』

 勝手に脳内であれこれシミュレートして浮かれている私を、さとみんが落ち着いた声で現実に引き戻す。

「ん?」

『嘉浩くん、秋からニューヨーク勤務になるんだ。だから……私も着いて行く』

 ニューヨーク。着いて行く。
 その意味を脳が判断するまでに数秒を要して、今度は咄嗟に声が出なかった。軽く目を見開いたけれど、姿の見えないさとみんにそれが分かるはずもない。

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