交際0日のプロポーズ～純情男子の恋の傾向と対策

どう返事していいか迷っていると、先に今泉さんが言った。



「そんなことないよ、石野くん。

酒井くんは友達だもん。」



「！」



(そっか…)

リコちゃんに彼氏が出来たように今泉さんにとっても俺のことはもう過去のことなんだ。



ほっとした。



どこか胸が苦しい気がするのは…気のせいだ。



「…じゃあ、土曜に。」



俺は彼女と約束をした。



「さぁそろそろ授業行こうか？」

先生が立ち上がる。

「ご馳走さまでした。」

みんなが口々に言って、先生の後を追って店を出た。



先生と今泉さんと石野が話しながら歩く後ろを一人で歩いていると、隣に荻原が追い付いてきた。



またリコちゃんのことか、と思って荻原を振り返ると、荻原は思いがけない言葉を口にした。





「弥生子に手ぇ出すなよ。」





(…！？)



荻原はそのまま俺を追い越し、今泉さんの隣に立って3人の話に合流した。



(何？今の…)



今泉さんが荻原を見上げる。

荻原が今泉さんに何か言って笑いかける。



何とも言えない微妙な気持ちでふたりの後ろ姿を見ながら俺は塾に向かった。

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