君とゆっくり恋をする。Ⅰ【第1話 〜第5話】(短編の連作です)



「ああ!知ってる。カッコイイよねぇ~」

「あの芹沢さん、社内だけじゃなく営業先からもたくさんチョコをもらったらしくて。それを給湯室に置いて『ご自由にお食べください』って貼り紙してたんだって。でね?その中に、なんと秘書課の松本さんからもらったブルガリのチョコも混じってて、カードに『本命です』って書いてあったんだって~!!」

「えぇ~!そりゃ、ブルガリのチョコだったら、本命に違いないだろうけど。せっかくもらったチョコを、そんなふうにするのって、ちょっとひどくない?」

「まあ、なんでも芹沢さん、チョコレート嫌いらしいんだって。もらっても迷惑なのかもね。ま、捨てちゃうよりか、いいんじゃない?」


こんな会話を聞いて、結乃の決意もグラグラと揺るがされてしまう。


――…やっぱりチョコレートは、あげない方がいいかもしれない…。


だけど、チョコレートをあげるきっかけがないと、多分告白はできない……。
思い悩んでいるうちに時間はどんどん過ぎて、終業時刻が近づいてくる。


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