失礼男の攻略法

慌てておしぼりを持った手を口元にもっていくと、ぎょっとした顔をした失礼男に手を掴まれてしまった。

あっと咄嗟に手を引こうとしたけど、それを男の手は許してくれなくって、ぎゅっと包み込まれる。

何が起こったのかわからなくって、その手をじっとみつめることしかできずにいると


「なぁ、そんなかわいいこと言ったら、おっさん、もっとひどい妄想しちゃいそうなんだけど」

ドキっとするようなことを言われて視線を上げると、その先には、ひどく男っぽい色をした瞳があった。

その瞳から目を離せないまま、信じられないほど鼓動が早くなっていることが自分でもわかる。

もしかして・・・

そんな期待が頭をよぎった時に

「なーんてな。ほんと千秋は危なっかしいよな」

おどけたように、以前にも聞いたことのあるようなセリフをなげかけられてしまった。
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