失礼男の攻略法

「先生、明日の書類、ここ置いときますね」
「ありがとー!仕事早くて助かる!ねぇ、ランチいかない?」

短かった恋を心の中にしまい込んでから、なぜか仕事は絶好調。

あの男のことに想いを巡らせる時間がなくなったおかげか、美希ちゃんが仕事をセーブしてくれているおかげか、ランチを外で食べるくらいの余裕が出てきた。

美希ちゃんに連れてこられたのはビル内にある和食のお店。

イタリアンとかフレンチは女の人が多いけど、ここに来るお客さんは男の人が圧倒的に多いっていう美希ちゃんらしい理由で。

松花堂弁当を食べている美希ちゃんの横で、天丼とお蕎麦のセットを食べていると

「先生、そのチョイス信じられないんですけど」

またもや文句を言われてしまう。

「だって、お腹すいてるんだもん。お蕎麦、美味しいよ。一口食べる?」

「要りませんよ。せっかく素敵な男性と出会いがあっても、それ食べてる時点でドン引かれますよ」

そんなこと言う美希ちゃんに首をかしげてしまう。
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