失礼男の攻略法

そんな自分が信じられなくって、さっきまでの鬱々とした気分とは全く違うドキドキ感をごまかしたくってどんどんウイスキーを煽っていると、ラウンジの入り口から良く知った人が慌てた様子で入って来るのが目に入った。

「大丈夫か?」

私の顔を覗き込みながら問いかけるお兄ちゃんは、すぐさま涙の跡に気付いたようで・・・。

「何があった?真人さん、またひどいこと言ったのか?」

たたみかけるように問いかけてくるお兄ちゃんに、ゆっくりと首を横に振るしかできなかった。


どうやら飲みすぎるだろう私を心配して、失礼男がお兄ちゃんに連絡を入れていてくれたらしく。それを知って、やっぱり高鳴ってしまう胸をごまかすことなんてできなかった。


そのままお兄ちゃんたちの家に泊まって、昨日やるはずだった仕事を片付けるために早朝に事務所に降りてきたはいいけど、昨日のことを思い出すとイマイチ集中できない。
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