不知火の姫






中二階の踊り場から下を見下ろすと、そこには大勢の鬼焔の人たちが集まっていた。全員が入り口の扉の方を向き、不知火を待ち構えている。

私と蓮さまがいる中二階は倉庫の一番奥にあるので、全員の背中を見渡す事になる。鬼焔の人たちが着ている特攻服は色々な形や色で、その背にはそれぞれの族の名前が刺繍されていた。


光流さんが言った通り、本当にいろんな族の人たちが集まっているんだ……


その中心がぽっかりと空いていて、そこに昴さんと愛澄ちゃんがいるのが見えた。

昴さんは蓮さまが出て来たのに気が付くと、こちらへ来いと呼ぶ。


「俺は下へ行くけど、鈴ちゃんはここにいて。ここなら乱闘にも巻き込まれないだろうから」


『悪いけど縛るね』って蓮さまは私の両手をまた、後ろで縛った。でも前より緩い。

それは蓮さまの優しさ。


「鈴ちゃんが危なくないように、人を付けるようにしとくから」


蓮さまはそう言って階段を降りて行った。




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