不知火の姫
「鈴ちゃんと一緒に、親父さんの話を聞いてこい」
――――ドキン、と心臓が音を立てた。
蓮さまは、私と葉月が本当に兄妹なのか確かめてこい、って言ってるんだ。
「…………それは……」
葉月は蓮さまの隣にいた私を見つめた。
どうしよう……知りたいけど…………怖い……
彼も、同じ気持ちなのかもしれない。私たちはお互いに見つめ合ったまま、言葉が出なかった。
「何だよ、葉月。不知火の総長が、そんな事に怖気づいてるのか?」
蓮さまが煽るようにそう言うと、葉月は心を決めたように私の手を握った。
「――――鈴、行くぞ!」
私の心はまだ、揺れている。
知りたい……でも、知りたくない…………
だけど、このままでは私たちは、一歩も前に進めない。
「………………うん」
私はゆっくりと、頷いた。
◇◇◇