不知火の姫
――――夜の海に輝く一時の光の群れ
それを、不知火という。
一種の蜃気楼のようなものなのだそうだ。
大人と子供の狭間の私たちは、今は不知火の蜃気楼のような、そんな時なのかもしれない。
蜃気楼のような時の中を、悩み苦しみ、足掻き、泣き、生きている。
そんな私たちを、大人たちはくだらないって笑うかもしれない。
だけどその大人たちも、かつて通ってきた道。
私たちはこれからも、悩み苦しみ、足掻き、泣き。
そして、笑い。
不知火の光を見つけながら、懸命に生きていく。
――――仲間と一緒に。
――――葉月と、一緒に……
【不知火の姫・完】