不知火の姫


「――――あー! 僕、いい事思いついたあ!」


重い沈黙を突然、志貴の大きな声が破った。

空気全然読めないのか、この可愛い系の金髪男は!





「じゃあ『不知火の姫(仮)』ってのはどう?」





かっこかり?

なにそれ、意味不明。


「正式な姫じゃなくて、仮の姫。それでも僕たちといる口実にはなるでしょ?」


志貴は自分の提案の素晴らしさに満足したように、両腕を組んでどや顔。


「……案外、いいかもしないよ、葉月」


事を静観していた蓮さまが言った。


「しばらくそれで様子を見て、危険が無いようなら姫を辞めてもいいし。もし、葉月が納得するなら、そのまま本当の姫になってもいい。つまり、どっちにも転がれるから便利じゃん」

便利って……

素敵にに微笑む蓮さまだけど、意外と毒舌。それに「蓮さんは可愛い女の子が好きなだけでしょ!」なんて、志貴の突っ込みも入ってるし。




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