いつの間にか、溺愛。
「今日はごめんね。夜ご飯付き合ってくれてありがとう」

「こちらこそ。わざわざ送ってもらって…… 本当は飲みたかったでしょ?酒豪だから」

「おっ、よく覚えてたね?」

「ずっと飲みたそうな目で見てたからね」

「あ、バレた?」

「仕事終わりのお酒って格別でしょ?だから居酒屋にしたのに、なんかごめんね?」

そう伝えると彼は少し苦笑いしながら答えた。

「……いや。実は… 本当は今からまた仕事なんだ。だから飲めなかった」

「え?」

「鈴が俺の事を気にしてくれてるのがすごく嬉しいよ。ありがとう」

「う、うん。今からまた戻るの?気をつけて、ね?」

「うん。ありがとう」

「今度、一緒に飲もう?……また来週でも… 」

「……。」

「ん?」

「………やっぱり 今、飲んでもいい?」

「えっ____

不意に目の前が真っ暗になり……

彼の顔が、彼の唇が私を覆った。

柔らかい感触に小さなリップ音が鳴り響いて。

一瞬の出来事がまるでスローモーションの様に動いている。

暖かい感触がふと離れて吐息のかかる位置に彼の顔がある。

「まだ欲しいって言ったら、怒る?」

「………っ、」

「ふっ… 可愛い。」
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