いつの間にか、溺愛。
それから、ただただ毎日に没頭した。

代わり映えのない日々に戻っただけ。

というより、元々何もなかった訳だし。

あれから彼からの連絡はない……と言うのは嘘になる。

何回か電話があったが、全て出ずに掛け直す事さえもしなかった。

あっという間に一週間が過ぎてまた週末がやってくる。

頑張った自分にケーキでも買って帰ろう!と帰宅前にまたもや駅ビルに寄って帰る事にした。

〜♪

着信音に携帯を開くと、そこには彼の名前が。

そのまま気付かない振りして鞄に直そう……

「おい、なんで出ない」

「っ!?」

声がした方に振り向くと、そこには携帯を耳に当てて少しご立腹な彼、蒼くんの姿が。

「せっかく鈴が見えたから驚かしてやろうと思ったのに」

「………」

「ん?……鈴、どうした?」

「……じゃ、」

何を話していいかもわからずこのまま立ち去ろうとした瞬間、腕を掴まれた。

「なんでそんなに避ける?」

「……。」

「鈴、今からちょっと時間ある?」

私の返事なんて聞くつもりはないのだろう。

そのまま掴まれた腕に引かれて連れていかされた。
< 38 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop