いつの間にか、溺愛。
溜息交じりに話す彼になんだか少しホッとしている自分がいる。

「で、俺の話は納得していただけた?」

「あ、……う、うん。」

「じゃ、行こっか?」

「え?どこに?」

「ん?俺の家」

「はあ?な、なんで!?」

「鈴とイチャつきたい。」

平然な顔をして大胆な事を言っているが。

「ちょ、ちょっと待って!話が急すぎて全然ついていけてないんだけど… 」

「ん?何が?」

何が?じゃないわよ。

彼女がいない事はわかった。

だけど、まだわからない事がある。

「そ、蒼は…… 私の事、好き、なの?」

「………マジか。俺、結構わかりやすく口説いてたつもりなんだけどなぁ……」

「え、っえ?口説いたの?私を!?」

「鈴のお母さんが手強いって言っていた意味が今はよくわかる」

「え、なんでお母さんがでてくるのよ!?ちょ、ちょっと……っ

「もう、黙って?___

そう言いきると彼の顔でいっぱいになり、唇に温かさが伝わった。

まるで繊細なものを食べるかのように、優しく愛出る感触に一瞬にして落ちていく。

「……っん、んん」

「鈴、口開けて?」

「…っは、んっ……っ!」

柔らかい感触に、とろけそうな私の唇。

頭の中まで刺激されふわふわした感じだ。

名残惜しくも離れた唇を辿ってみると、それはまぁ大満足な顔の蒼。

「鈴、好きだよ。」

満面の笑みで私の欲しかった一言を言ってくれた。
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