10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
1.恋人がすること


いつも買っている、とある女性雑誌を読んでいると、こんなページを見てしまう自分のいやらしさを恥ずかしく思う。


いや、人が読むことを想定して書かれた記事だし、羞恥心なんて必要ないのだけれど…


これまで興味本位で見ていたこのページに書かれていることが、今では他人事ではなくなってしまった。



"〜あなたの初体験談〜"


この記事によると、みんなかなり早い段階でお済みになられているようで…私は驚愕する。もちろん私も全く興味がないわけではないが、いざそういう状況になった時のことを考えると、スムーズに事を運べる気がしない。



私の幼なじみの竹内春人、通称春兄と恋人同士になって数日が経過した。


春兄は卒論の準備で忙しく、あのキャッチボールデート以降まともなデートをしていない。


実を言うと、春兄とはハグはしたものの、その後のステップに進めていないのだ。そういう雰囲気にならないというか、もしかすると私にその気を起こす魅力が無いのか…


考えると悲しくなるけれど、春兄はそんなこと思う人ではないという確信があるから不安には思っていない。


だから、"もしも"の場合に備えてこうして雑誌の記事を熟読し、名も顔も知らないどこかの誰かさんの体験談を参考にしているのだ。


読めば読むほどそういうことをしている人たちは自分とは別世界に存在しているような感覚に陥る。
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