10年愛してくれた君へ【続編】※おまけ更新中
6.大人の階段



春兄の部屋へのお泊まりが決まったその日、0時を回ったその時間でも電話の相手は興奮MAXの状態だった。


『ついに、ついに…!!藍もロストバージンね!!おめでとう!!』


「い、いや充希?まだ確定したわけじゃ…」


きっと電話から漏れているだろう充希の声。そのボリュームの大きさに思わず電話を耳から遠ざける。


『何言ってんのよ!!壁を越えた先のお泊まりなんて、何かあるに決まってるでしょ!?』


「…本当にそうだったらどうしよう。私も一瞬は覚悟したんだけどさ、冷静になってみるとやっぱり怖いし恥ずかしい…」


ファミレスから帰ってすぐに、"初体験談"が書いてある雑誌をもう一度熟読してしまっている自分がいた。


私は私でよそはよそなのだけれど、一般論というか、やっぱり人の意見とかも必要かななんて思ったり。


だからこうして充希にも電話をしたのだ。



『でも相手は春人さんよ?昔からずっと側にいてくれた人よ?春人さんとできなかったらあんたは今後全世界の男とできないわよ!?』


「べ、別に春兄以外の人としようなんて思ってないし!!!!!!」


『…冗談よ。そんなことしたら春人さんが怒るでしょ』


からかった!!経験がない私を面白がってる!!この、悪女め!!


「で、でもさ…私どうしたら…」


『動画でも見てイメトレしとけば?』


…な、なんと適当な返し。


「動画…?」


『ま、藍には過激すぎるかもだけど〜?』



そんな感じで終えた会話の後にメッセージが届いた。


【おすすめリンク集♪】


そんな言葉と共にサイトのアドレスが載っていた。ついに私もそちらの世界に足を踏み入れるのね…




意を決して開いたサイトの動画を見ると、充希の言っていた通り私には衝撃が強すぎた。


【バカ!!無理!!!】


充希からの返事はなかった。無言の"健闘を祈る"だと思っている。


無理だよ!!私には絶対に無理だよ充希!!!
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