大切なもの【完結】
「え!?ほんと!?」



俺の言葉にいままで見たこともないぐらいの笑顔を見せる。



「お、おう。暇ならだけど」


「暇!暇!暇!嘘とかないよね?ほんとだよね?」



俺の腕を掴む。



「嘘じゃないから落ち着け」



まさかここまで喜んでくれるとは思わなくて。
彩香に振られて落ち込んでいた俺の心を溶かしていく。



「嬉しい!夢だったの!」


「夢?」


「うん!好きな人と行くの!」



気がついたら俺の手は桜苗の頭に伸びていた。



「そんなに喜んでくれてありがとう」



桜苗とはじめるのも悪くないかもしれない
そう心の奥にあったから、目に入ったこのポスターをみて誘ったんだろうな。



「でも、なんか翼に悪いよな」


「いやだ!翼のこと気にしないで」



桜苗が俺を睨む。



「気にしないわけに行かねぇだろ。あいつだって友達なんだから」


「でも、あたしは翔が好きだから…」



さっきまでは元気に話してたくせに
〝翔が好き〟と言う口調は恥ずかしげで。

< 100 / 209 >

この作品をシェア

pagetop