大切なもの【完結】
「ふーん?じゃあ女心わかる翼と付き合おうかな?」



またこんなことを言いやがる。



「まぁ、それもありかな」



今度は俺もその誘いにノッて見る。



「え?本気!?」



香が目を大きく見開く。



「結構かわいいよね。香」



香に顔を近づける。



「近い!近い!」



口ではあんなに〝付き合う〟とか言ってたくせに、いざとなると恥ずかしそうに顔を赤くする。



「顔、真っ赤。かわい」


「からかわないでよ!」



真っ赤な顔で怒ってるからゆでだこみたい。
そんな顔も可愛いなとか思ってくる俺は案外香のことすぐに好きになれるのかもしれない。



「からかってなんかないよ。香」



香の手を掴む。



「翼?」


「俺ら、たぶんお互いまだ別の人好きだけどさ」


「…うん」



香だってまだ郁人のことが好きなはずだ。
俺と一緒。



「2人でゆっくりやっていかない?」



気づいたら俺が告白してるような感じになってるのはなぜだろう。

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