大切なもの【完結】

大好きな人の誕生日─Ayaka

「あったあった」



郁人と別れて早速もらった給料を手に雑貨屋さんへ。
目的のものがあってついに!!と顔がほころぶ。

郁人にすごい似合うものを見つけて、絶対これだって思ったんだ。



「あれっ、彩香!」



えっと思って振り向くと、翔が立っていた。



「翔!なにしてるの?」


「歩いてたら彩香が見えたからさ。運命だな」



なんて笑いながら言う翔だけど、今はもう冗談だとわかってる。
むしろ、好きだって言った頃はこういうことは冗談でも言ってなかったし。



「桜苗に怒られるよー」



いまは翔と桜苗が順調だってわかってる。



「大丈夫だよ。理解あるから」


「理解ってなにー。なんか遊び人と付き合う彼女みたいに聞こえるけど」


「バカ、そういう事じゃねぇよ」



わかってるけど、さっきの言い方だとそんなふうにしか聞こえない。
翔がそんなことは出来ないこともよく知っている。

< 164 / 209 >

この作品をシェア

pagetop