寄生虫
「いつもなら、こんなに古い漫画は捨てて新しく買い替えるんだけど、どうしても捨てられなくて」


真尋はそう言って、漫画を元に戻した。


よく見てみると、同じ漫画が2冊ある事に気が付いた。


「これは、後から買い直したの。それでも、捨てられなかった」


あたしの視線に気が付いた真尋がそう言った。


一旦は捨てようと試みたのかもしれない。


だけど真尋の中には大切な思い出があって、捨てる事はできなかったようだ。


「そんなもんだよね。捨てられない理由って」


あたしはそう言うと真尋は頷いた。


「あ、でもあたしの部屋は少しは綺麗になったから、今度また遊びに来てよね」


あたしがそう言うと、真尋は汚かったあたしの部屋を思い出したようにおかしそうに笑ったのだった。
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