寄生虫
あたしの体は全体的に赤く腫れていて、かきむしった痕が全身を覆っていたのだ。


腕や足だけじゃない。


胸、腹、顔、首、背中。


すべてが真っ赤になり、特に激しくかいた痕は肉が見えている。


「なんで……」


震える声でつぶやき、その場に膝をついた。


体中が震えて止まらない。


これほどまでかきむしってまだかゆいなんて……。


あたしは震える手で机に手を伸ばした。


引き出しの中にかゆみ止めがある。


それを取ろうと右手をのばして……右腕の皮膚がグニャリと動くのを見た。


今までにも何度か見た、皮脂の下をうごめく何か。


あたしは左手で右腕をグッと押さえつけた。


それでもその下を何かが動く。


その度にかゆみは増して行く。


右腕だけじゃない、左腕の中でもなにかが動いている。
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