寄生虫
☆☆☆

結局、試合は2対0で戸町高校サッカー部が勝った。


練習にしてはとても気合が入っていたし、みんなすごく真剣だった。


観終わった後には心がスッと晴れていて、今すぐにでも京介に会いたい気持ちになっていた。


「行こう、サナギ」


真尋にそう言われ、手を引かれて立ち上がる。


「行くってどこに?」


「試合の後克哉とご飯食べる予定にしてるの。一緒に行くでしょ?」


「え、あたしは……」


2人のお邪魔にはなりたくないと思い、口ごもる。


「京介を誘えばいいじゃん」


そう言われ、ドキッとする。


今更ドキドキする必要なんてないんだけれど、普段と違う京介を見た後だからなんだか意識してしまっている。


「でも……」


「ほら、早く行かないとまた告白されちゃうよ?」


「え、なんで?」


「なんでって、こういうタイミングでラブれたーを渡す子も沢山いるんだよ? 勝った試合後で本人も気持ちが高ぶってるし、これで成功するパターンだって多いんだから」
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