寄生虫
☆☆☆

近くのファミレスに到着して、あたしはようやく緊張を解いた。


「まさか、京介と克哉があんなに人気者だとは思わなかった」


4人席に座ってボソッとそう呟く。


「今さら何言ってるの。だからもたもたしてちゃダメだって言ってるのに」


真尋が呆れたようにそう言うので、あたしは慌てて「シッ!」と、人差し指を立てて行った。


「もたもたするって、なにが?」


ドリンクバーから戻って来た2人がキョトンとした顔でそう聞いて来た。


「な、なんでもない。あたしたちも飲み物取りに行こう」


あたしはそう言うと、真尋の手を握ってすぐに席を立った。


「ちょっと、バレるような事言わないでよ」


小声で言うと、真尋はペロッと舌を出して見せた。


「でも、今日のを見て焦ったんじゃないの?」


「それは……そうだけど……」


あたしはウーロン茶をつぎながらモゴモゴと返事をする。


焦ったのは事実だけれど、焦ったついでみたいに気持ちを伝えるのは嫌だった。
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