僕の太陽
約束
「本当に言わなくてよかったのー?」



俺は風に髪をなびかせている、
直井圭佑の背中に話しかけた。

肌寒くなってきたといえど、
屋上の直射日光は目に突き刺さる。



「いーのいーの。
俺だって一応いろいろ考えてんだよ?
和寿くんには心配ばっかかけてっけどさ」



目の前のこいつは、
いつもの悲しくなるような笑顔でこっちを向く





なんでこいつの笑顔は、
こんなに切ないんだろう







「俺は、杏が大事だよ。
小さい時から一緒で…
あいつといたらなんか元気出るしな。

でも圭佑。お前のことも、
同じぐらい大事だよ
どっちかだけが幸せになるなんて耐えらんねえ」



「和寿くんは本当に良い兄ちゃんだよな」



「お願いだから圭佑、
お前自身のことも考えろよ」



しばらく圭佑は何かを考えこむように黙りこんだ。

そして、呟いたんだ。



「あいつの幸せは、俺の幸せだよ」って。




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