僕の太陽

大切なもの

俺が全試合において大勝利をおさめて更衣室に入ると、
暗い男がいた。
いや、いると気づかなかったが影だと思ってよく見たら圭佑だった。


「ちょ、おま、影の薄さ発揮してんじゃねえよ」



「和寿くん、俺もう駄目だ。
このままもう海へと見投げしてしまおうか…」


うわ…こいつほんとにもう駄目だ。


「なにしでかしたんだよ…」



「簡潔に言うと、
好きって言っちゃった」


そう言う顔はあっけらかんとしていたけど、
存在感が物語ってる。
オーラが圭佑の気持を表していた。


「いいじゃん、もう突っ走っちまえよ」


そのドンヨリとした空気に少し嫌になってきた俺は思ってること全部言おうと思った。



「別に父親とか、母親とかそんなの今考えることか?
杏が好きなのはお前だろ、しっかりしろよ」


後から考えたら無責任なこと言ってたと思う。


「杏はお前がいればそれでいいんだよ。
お前はちげえの?」



「…」



「お前の彼女泣いてんの見たよ。綾川さん、だっけ。
これ以上誰か傷付ける前に
もう杏のことめいっぱい守ってやれ」
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