毒薬
毒薬
午前三時、僕は散らかった部屋の隅に敷いてある(この部屋に住んでから数えるほどしか畳んだことのない)布団の上で
隣に横たわる女の寝息を聞いていた。

仄暗い部屋で彼女の顔を確認する。

間違いなく、僕の大学のクラスメートだ。

輪郭がぼんやりとした、言っちゃ悪いけどお世辞にも美人とは言い難い、

口の悪い人間なら侮蔑的な表現をしそうな容姿をしている、

そんな彼女は去年21歳になったという。

目を閉じているが、その切れ目の幅の狭さと睫毛の短さは彼女が決して魅力的な目をしていないことをはっきりと示している。

鼻は低く、口との距離が長いのでどうも締まりのない印象を与える。唇は薄く、艶などない。

流行りに寄せているのか、蜂蜜色に染めた髪をボブカットにしている。彼女の身体は恵まれていない。

女性に期待されるような柔らかで締まりのある脚も、弾力のある腹も、手に余るような胸も、ないのだ。何一つだって。
< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop