女嫌いと男性恐怖症

 遥はちぐはぐな自分の心を、整理できないでいた。
 晶が優しいのは誰にでも。と、いう気がかりの他に、別の心配ごとが頭をもたげ始めていたのだ。

 自分の好きと、男の人の好きは違う。
 そしたら、ずっと側にはいられないんじゃないか。

 嫌な記憶が蘇りそうになって、呼吸が荒くなる感じが分かる。

 ダメ、大丈夫。アキは大丈夫。

 でももしアキが私のことを、そういう目で見たとしたら。

 また荒くなりそうな呼吸に、過呼吸が起きそうになる。

 もう、ダメ。

 そう思った時に、背中を優しく撫でる大きな手があった。

「大丈夫だ。大丈夫。息をゆっくり吐くんだ」

 穏やかで低い声。
 変わらない優しい大きな手。
 どうして、こんなにも大切なのに。
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