女嫌いと男性恐怖症
第35話 ターコイズ

 朝。仕事に行く準備をしていると、遥に声をかけられた。

「アキどこに行くんですか?」

「どこって仕事」

「今日は土曜ですけど、そんなに忙しいんですか?」

 遥の言葉に絶句する。

 土曜、だったのか。
 曜日が分からなくなるほどに、参っていたとは。

 遥に目をやると、微笑んでこちらを見ていた。

 でも、そのおかげで大切なものが何かに気付けた。

 晶はフッと笑みを浮かべると、ネクタイを緩めた。

「じゃ今日はどこかへ行こう。そういえば仕事始めたんだよな。就職祝いに、なんか買うか?」

 別に、直樹に言われたからじゃない。
 たまたまだ。

 そう自分に言い訳をしていると、遥の目がキラキラしている。
 久しぶりに見る、ロボットの遥に目を細めた。
 お宝を見つけたみたいだ。

「いいんですか? 欲しいです! お出かけするんですよね? 着替えて来ます!」

 嬉しそうな遥に、ハハッ、物で釣るとかどんだけ。と、自分の言動を嘲笑した。

 晶も、一着しかない私服に着替え直す。

「服、買いに行かないといけませんね」と、言う遥に「それはまた今度だ」と断った。

 せっかく、穏やかな日常が戻ったんだ。
 また過呼吸とか出るようなことは、したくなった。
< 251 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop