女嫌いと男性恐怖症

 遥はソファーの端に、小さくなって座っていた。

「なんだ。昨日眠れなかったのは、あの猫が心配でか?」

 首を振るが、きっとそのせいだろう。
 寂しそうに見える。

「すみませんでした。猫アレルギーとは知らなくて。部屋中をコロコロしました。あとで掃除機もかけますから」

「別に、猫アレルギーじゃない」

「でもさっき」

 猫はかゆくなると言っていた。

「猫は女みたいだから嫌なんだ。あのすり寄ってくる感じ。俺の中で猫は、女と同じカテゴリーだ」

 また黙る遥に、晶が声をかける。

「なんでも、直樹の奥さんの知り合いが飼うらしい。今度遊びに行けばいい。奥さんに、礼も言いたいだろ?」

 晶の言葉にやっと笑顔を向けた遥を見て、やっぱり面倒なやつだ。と思った。

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