女嫌いと男性恐怖症

 直樹は、人好きのする親しみやすい優しい顔立ちをしている。
 背はそこそこ高く175センチだ。

 晶は、女に間違われても仕方ないくらいに、綺麗な整った顔立ちをしていた。

 ただ、女と間違えるには背が183センチと高く、そして声は低音だった。
 いつか「うっとりする声ですね。」と女に言われて嫌な思い出まであるほどだ。

 うんざりした顔をした晶は、思い出したように口を開いた。

「あいつ甘い匂いしなかったか?」

 つかまれた時は、直樹も近くにいたからきっとあの匂いに気づいたはずだ。

「は? 全然。どっちかって言ったらレディに失礼だがクサイ方だろ?」

 レディとはよく言えたもんだぜ。
 見た目は、まったく女にさえ見えないなりだった。

 でも……。

「まぁアキの女嫌いは、相当だからな。どんな格好でも分かっちまうのかね。そうなら、すごい能力だな」

 そういうことなのだろうか。

 女特有の香水の嫌な匂いとも、化粧の匂いとも違う。
 もっと、なんていうか甘い。
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