女嫌いと男性恐怖症

「だって、毎日スーツで」

「悪かったな。これしか服がないんだ」

 プッと笑う遥に視線を戻すと、やっとリラックスした顔になったのが確認できた。

「男に慣れないと、買い物も行けないだろ? そうだな。外に買い物に行けるようになったら、コーヒーメーカーを買ってやってもいい」

 ピコンッといつしかのロボットのように、今度はお宝でも見つけたような動きをした。

「本当ですね? 約束ですよ。じゃその時に、アキの普段着も買いましょうね」

 上から目線のようで気に食わない気もしたが、まぁやる気になっているならいいか。と、目をつぶることにした。

「でも、仕事を休んでいたなんて」

 食べた皿を片付けながら、遥は残念そうだ。

「弁護士の先生って何もしてなさそうなのに、こんなに素敵なところに住めるなんてと思って」

「悪かったな。夢まで壊しちまって」

 何もしてなくていいなんて、どんなだよ。

 何も知らない、んっとにガキだぜ。
 ガキだと思うことが多過ぎて、飽き飽きしていた。

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