ラブリー
わたし、佐和子の気持ちを考えて“別れてください”と言ったんだけどな…。

そう言ったから今日の出張だって、わたしじゃなくて佐和子が同行するんだと思っていたのに…。

悲しいことに、お試しはまだ続いているのね…。

そう思っていたら、
「なずな、終点だよ」

小宮課長に声をかけられた。

新幹線は終点であるT駅に止まったようだ。

わたしが椅子から腰をあげたら、
「行こうか、なずな」

小宮課長がそう言って、わたしの手を繋いできた。

「えっ…」

一瞬、自分の身に何が起こったのかわからなかった。

小宮課長は何でもないと言った様子でわたしの手を引くと、一緒に新幹線から降りた。

何これ…?

まるで、恋人同士みたいなんですけど…。
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