副社長は束縛ダーリン

毎週末ここで過ごしているので、二日分くらいの着替えや、メイク道具や化粧水は置かせてもらっている。

急いで取りに帰らねばならない物は特になく、今週は月曜の朝までアパートに戻らなくても大丈夫そうなのに。

『当分の間』と言われたけど、それって、いつまでのこと……?


悠馬さんはダイニングテーブルの椅子に、スーツのジャケットをかけて、慣れた手つきでネクタイを結んでいた。

体を半分捻ってその様子を見て、首をかしげたら、彼の口の端がニヤリと吊り上がった。


「これから朱梨は、この家で暮らすんだよ」

「え? それって……」


同棲しようと言われたことはあったけど、そのときは付き合いたてで、まだ早いと断った。

そういう楽しみは、もう少し後まで取っておきたいという思いがあったので。

悠馬さんとの交際は半年以上が経過したけれど、今でもまだ、同棲は早いような気がして戸惑ってしまう。

すると、もっと驚くことを言われる。
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