副社長は束縛ダーリン

不思議に思いつつされるがままになっていたら、「チャックはどこ?」とイライラした声色で聞かれた。


「あ、左の横です。脇の下から腰までについてーー」

「あった。これか。早く脱いで」

「どうして? 私、この後もユキ丸くんをやらないといけないんですけど」

「それは許さない。前回もその前も、この着ぐるみの中に入ったのは企画部の男だよね。他の男の汗が染みついたものを着ないで」


悠馬さんの怒りのポイントって……そこなの?


おかしくなってプッと吹き出して笑ったら、心に喜びが込み上げて幸せな気分にさせられた。

いい女とは程遠い姿を見せてしまっても、悠馬さんはこうしてヤキモチを焼いて私に執着してくれる。

いい女になろうと無理をするのは、もうやめようか。

まさにいい女である望月さんよりも、こんな私を最高にかわいいと言ってくれた彼だから。

私はこのままで。

いい女ではなく、ちょうどいい女のままでいた方がいいみたい……。



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