【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

「感覚もちゃんとあるんだな。耳に触れると尻尾がプルプル震えてる」

緊張で毛羽立った尻尾を観察するようにまじまじと見つめられ、恥ずかしくてうつむいた。

「尻尾にも触っていい?」
「どどどどうぞ」

恥ずかしくてしかたないけれど、この異常な状況を把握するためだから仕方ない。
そう自分に言い聞かせ、いつもの可愛げのない無表情のまま頷く。

「見せて」

そう言って専務は私に後ろを向かせ、真顔で尻尾を見つめる。
どういう仕組なのかはわからないけれど、尻尾は私の着ている服を無視しているようで、タイトスカートの上から立派な尻尾が生えていた。

なにこのありえない状況。
いたたまれなくて両手で顔を覆いたくなる。

「触るよ」

そう言って、専務が私の尻尾に手を伸ばした。
毛並みを確かめるようにそっと指でなぞった後、ぎゅっと握られ飛び上がる。

「ぎゃっ!!」

思わず猫耳を後ろに倒して専務を睨むと、専務は慌てて尻尾から手を離す。

「ごめん。力加減間違った」
「……いえ」

平気なふりをして首をふりつつも、尻尾は警戒して逆だったままだった。

「本物の猫も、尻尾に触られるの嫌いだもんね」
「そ、そうですね」

ふーふーと深呼吸をしながら、なんとか気持ちを落ち着かせる。

 
< 50 / 255 >

この作品をシェア

pagetop