ソウル・メイト
この人の仕事内容なんて詳しくは知らないから、嘘をついてるかどうかなんて分からない。
でも、夫の話し方には真実味がこもっていた。
この場合は、小言を言われることを覚悟して、私が休んだ方がいいのかもしれない。

「分かったわ。土曜日ね」
「ああ」
「ねえ。それまであなたは・・千鶴はどうするの」
「俺たちは和美んちにいる。あの子はあいつになついてるから大丈夫だ。和美だって意地の悪い女じゃない」
「ちょ、ちょっと待ってよ。じゃあ私は土曜まで、千鶴に会えないの?」
「その方が互いのためにもいいだろ」
「いやよ!出て行ったのはあなたなのよ!千鶴は私が引き取ります。今日からでも」
「俺は千鶴の父親だ。そして千鶴も今いるところが嫌だとは言ってないんだ。一言もな」
「そ、んな・・・」
「今話をこじらせるなよ」

通話の切れたプープーという音を微かに聞きながら、私は力なく携帯を持っていた手をダランと下ろした。

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