ソウル・メイト
『俺、女いるんだ。たぶんおまえも感づいていたと思う・・いや、俺のことは無関心なおまえだから、どうだろうな。おまえがあくせく働いてる間、俺は千鶴を連れて和美のところに行っていた。そっちの方が家庭らしく感じて落ち着くんだ。千鶴もあいつには慣れてるから、心配するな』
『ちょ、ちょっと待ちなさいよ!』
『すまない』

・・・そっか。あの人、やっぱり浮気してたんだ。
同じくらいのお給料やボーナスをもらっているはずの、あの人の同期たちは、次々とマイホームを建てているのに、なんであの人の稼ぎじゃあ、この程度のマンションのローン返済に四苦八苦してるのかと思ったら。なーんだ、あの人、和美とかいう女に貢いでたから・・・。

そりゃあ支払いには苦労するわよね。
それで「すまない」?
それで謝ったつもりなの?
それで私たちの結婚生活は・・・終わるの?

『ママ、バイバイ』

突然起こったこの展開に、ついていけていなかった私は、閉じて久しいドアを呆然と見ながら、千鶴が私に笑顔で言った言葉を、何度も何度も思い出していた。

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