マ王の花嫁 
36
「やはりおまえはこの色の髪の方が良く似合っている」
「年寄りに見えませんか」
「少なくとも・・・小娘には見えん」とライオネル様に言われた私の顔に、思わず笑みが浮かぶ。

「私は20歳、数ヶ月後には21歳になります。立派な行き遅れな上、恋愛経験皆無の女ですよ」
「そうか。という事は・・・おまえは30の俺よりも若いんだな」
「そうなりますね」
「だろうと思った」

私の顔に、思わず笑みが浮かぶ。
そして、私の髪を梳くように何度か撫でたライオネル様は、満足気な声でそう言うと、手を離した。

「そう言えば・・・さっき夢を見ました。予知夢ではなくて、過去・・私が幼い頃、実際に体験した出来事。母と過ごした良き思い出の一つだったのに、夢を見るまですっかり忘れていました」
「夢の内容を俺に話してみるか?」
「勿論です」と私は言うと、スプーンを置いて、ライオネル様に微笑んだ。

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