マ王の花嫁 
書き物をしていたライオネル王は、私が入ってくるなり、羽ペンを机に置いた。
椅子を引くギッという音が、部屋に・・・私たちの間に響く。

・・・怖い。これから自分がすることを思うと。
何故この人は、魔王と呼ばれているの?
何故私は、王の命を・・・いえ、人の命を奪わなければならないの・・・?

『他人の寿命を勝手に決めることは、人として、してはならぬことじゃ・・・』

・・・分かってる。分かってるよフィリップ!
でも、私にはもう、他に選択肢がない・・・。

恐怖で動けない私のところまで、あっという間にライオネル王が距離を詰めた。
そして、ウエストに大きな手を置かれた私の目が、思わず見開く。

「おまえは何者だ」
「・・・え?」

まさか・・・まさか、私が偽のジョセフィーヌ姫だと、すでにバレているの!?


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